huruyama blog

学びや子育てやホームスクールなどなど 古山明男さんのコラムが大好きなので ご本人の許可を頂き紹介しています。

生きていくのに大事なこと

古山です。

子どもに、生きていくのに最も役に立つことを手渡したいと、私たちは願ってい
ます。この子たちに、ほんとうに幸せになってほしいのです。

では、何を手渡しましょうか。
財産を渡しても、賢く使えるかどうかはわかりません。
学歴や資格も、葛藤の多い人生になることから防いではくれない。

生きていくのにもっとも大事なことは、恐怖にどう対処していくかのアートを伝
えることだと思います。
アートというのは芸術という意味もありますし、技法・技術という意味もありま
す。


私自身、したくもないことをいろいろ仕出かしました。それは、たいていは怖さ
紛れです。

自分が誰の言うことにも耳を傾けなくなるのは、怖いからです。

見栄を張るのは、怖いからです。

相手を攻撃するのは、怖いからです。

自分に自惚れるのは、怖いからです。

何かに耽溺するのは、怖いからです。

教条にしがみつくのは、怖いからです。


どうしてそんなに怖いの?

怖かったときに、「ああ、怖かったねえ」と言って背中を撫でてくれる人がいな
かったから。

自分で自分を「ああ、怖かったねえ」とハグできないから。

それで、いろんなカスを掴んでしまった。
耳を澄ませれば、この世界はたくさんのことを語りかけているのに。

親たちも先生たちも、「~すればいいのに」と「もっと気をつけなさい」しか持
っていなかった。それは、大人たちが自分の恐怖に直面しないで済む手段だった。

怖さを認識できるところから、明晰さが生まれます。
怖いまんまでいい。
自分の中の子供が怖がっていることを慈しめるのが、大人というものです。

恐怖をどう生きていくかのアートがあれば、いろんな能力は、おまけのようにつ
いてきます。恐怖がなくなれば、意欲は自然に出てきます。

現代の主流の教育観、つまり、人材を育てることと稼げるようになることは、大
事なポイントをはずしたままだと思うのです。


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古山明男