huruyama blog

学びや子育てやホームスクールなどなど 古山明男さんのコラムが大好きなので ご本人の許可を頂き紹介しています。

子どもは外界が怖いこと

古山です。

私が幼稚園児のときでした。

母が友人といっしょに、衣料品店に買い物に行きました。私も連れられていまし
た。店内はかなり混雑していました。

私は母のスカートを掴んで、母にくっついて店内を歩いていました。それなりに、
あれはなんだ、これはなんだと、好奇心を働かせていました。

そのとき、それが起こりました。
ふと気がついたとき、私は母のスカートを掴んでいたのではなく、母の友人のお
ばさんのスカートを掴んでいたのでした。
あれっ、違っていた。

それに気がついたときは、ほとんどパニックでした。

見知らぬ場所であっても、母に掴まっていれば、安心していられました。その安
心が突如吹っ飛んでしまって、見知らぬ人混みの中に投げ出されてしまったので
す。

母は世界の中心でした。
母がいれば、そこは住める世界です。母がいなければ、そこはたちまち見知らぬ
荒野です。

たぶん、大泣きしたのだと思います。
母がやってきて、手をとってくれました。またスカートにしがみつくことができ
ました。

子どもにとって外界は怖いところです。この怖さは、大人になると忘れてしまっ
ているものです。しかし、子どもにとって外界は、大人と同じに見えてはいませ
ん。だれでも、小さいときは勝手に家から遠くは離れないものですし、外出した
ときは親から離れないものです。それは躾ではなくて、見知らぬ世界は怖いから
です。

大人になってから、この怖さの感覚を知っているだけで、子どもを扱うのがずい
ぶんと楽になります。
「あ、そういうことね」とピンときやすくなるのです。


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古山明男