huruyama blog

学びや子育てやホームスクールなどなど 古山明男さんのコラムが大好きなので ご本人の許可を頂き紹介しています。

生きる力と泣く力

古山です。

昨日のお遊び会も楽しかったですね。


子どもの生きる力を育てようとするとき、子どもが泣くことを肯定的に捉えるこ
とは、そこからすべてが始まると言っていいくらい大事なことだと思います。

柔道を初心者に教えるとき、まず受け身を教えます。投げられて床にたたきつけ
られたときの衝撃を和らげる方法です。まず受け身を覚えて、大けがを防ぎます。

子どもにとって、泣くことは、この受け身に相当します。苦痛、失望、挫折、な
どがあったとき、全身全霊でそれを受け止め、身体の力を使って押し流してしま
うのです。

泣いた後、子どもはケロリとして、遊びに出かけていきます。その姿を見ると、
泣くことがどんなにすごい力を持っているかがわかります。

昨日のお遊び会で、小さい子に何か起こって、親のところに来て泣く姿に2回出
くわしました。どのくらい泣いているだろうかと計ってみたら、30~40秒程
度でした。ほぼ1分くらいで、さっきあったことはすっかり忘れて、次の遊びに
熱中していました。

たった、数十秒のことなのです。それで、あんなにクリヤーになれる。

子どもが泣くと、大人は、なんとか泣き止ませようとしたり、何が原因か、誰が
悪いのか、何をアドバイスしたらいいのか、などと考えるものです。
そんな必要はありません。子どもにとって、心の整理をつけるためのプロセスが
進行しているだけです。ときには、対応が必要な場合もありますが、そのときは
子どもの泣き方が違います。

子どもが、泣くことによって生きる困難をくぐり抜けていく様子がわかると、生
きるエネルギーと調和するやりかたがわかってきます。

子どものことがわかると、自分のこともわかってきます。

自己認識は、言葉による反省ではなくて、自分の中でどのようなプロセスが働い
ているかを、直接に感じ取れることです。
これは、誰にとっても、一生をかけて発展させていく学びなのだと思います。


古山明男