huruyama blog

学びや子育てやホームスクールなどなど 古山明男さんのコラムが大好きなので ご本人の許可を頂き紹介しています。

なぜ子どもはアニメなら入り込むのか

古山です。

「僕と魔法の言葉たち」という映画を見ました。素晴らしかったです。
自閉症の子どもが、周りの人たちとのコミュニケーションの通路を築いていくド
キュメンタリー映画です。
自分のブログで取り上げました。
http://ameblo.jp/afrym/entry-12274823327.html

この映画を見ていて思ったのが、大人たちが、子どもを諸能力の集まりとして
見ていては、子どもを教育するのが難しくなってしまうだろう、ということです。
この映画の主人公の場合、言語能力がないと思われていたら、ディズニーのア
ニメの世界に入りこんでいて、そこで生きていました。

14歳までの子どもの意識は、キャラクターとストーリーでできています。特に
9歳以前は、それだけでできていると言っていいくらいです。
だから、子どもたちは絵本やマンガなら喜んで見ますし、アニメなら見ます。

この「キャラクターとストーリーによる世界の把握」は、大人になっても、毎
晩の夢を見るときの言語として、いつも流れています。

子どもを、身体運動能力、言語能力、図形認識能力等々に分解して捉え、その
一つ一つを訓練すれば豊かな人生を送れるだろうと考えること。
各能力を子どもにでもできる簡単なものにし、各教科に割り振り、訓練するこ
と。それは、一見親切なようであって、子どもにとっては、食事を与えられずに
栄養サプリメントだけ与えられるようなものです。
学校を、諸能力一つ一つを分解して伸ばす場として構成することは、工場を単
純作業の流れ作業として構成するのに似ていて、産業社会に特有の人間観に基づ
いていたのだと思います。

子どもは、もっともっと、活動本位ですし、物事をストーリーで見ています。

能力主義を抜け出した教育が必要を創りたいと思っています。
今作っている「おっちゃんのさんすう教室」がその一つです。
文科省指導要領による算数・数学は、多くの子どもにとっては消化・吸収が難
しいものです。吸収率が非常に悪いです。下痢を起こす子もいます。
キャラクターとストーリーの中に算数を埋め込み、いろんな形で重層的に現れ
てくる中から、本質を掴み取っていく。そういうものを作って、おいしく召し上
がっていただければと思っています。

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古山明男