huruyama blog

学びや子育てやホームスクールなどなど 古山明男さんのコラムが大好きなので ご本人の許可を頂き紹介しています。

焦るとき

古山です。

つくばにあるインターナショナルスクールを見学させてもらえ機会があ
りました。案内してくれる人と、つくばでの駅で待ち合わせることにしていまし
た。

時間に余裕を持って出たつもりが、間の悪い時には、間の悪いことが重なるもの
です。
駅まで車で行こうと思っていたら、前日の雪で、フロントガラスに氷がびっしり。
前が見えない。落とすのに時間がかるのであきらめて、駅まで歩きました。

「後でもいいけど、今、行っておいたほうが...」と、コンビニのトイレに寄
たら、電車を一本、わずかな差で乗り逃した。

その電車は、どこかの駅でなんだかあったそうで、のろのろ運転。大幅な遅れ。

秋葉原の地下の駅が初めてだったので、複雑で、迷った。

やっと、つくば行きの電車に乗れて、先方に「遅れます」と電話しようとしたら、
自分の携帯には、相手の自宅の番号しか入っていなくて、通じない。

とにかく、これ以上早く着く手段はないのだし、先方と連絡を取る方法はない。
「焦ってもしょうがない」とわかっています。

しかし、思いは、「先方は待っいてくれるだろうか」「トイレは、後でもよかっ
た」、「秋葉原の駅のことを調べておけばよかった」などと駆け巡ります。
「焦ってもしょうがない」と思ったところで、止まりません。

ややや、ちょっと待て。
「焦ってもしょうがない」とわかっているのに焦るのは、たくさんの人が苦しん
でいる文明病みたいなものじゃないですか。
他人は「焦らなくていいんじゃない」って言います。「心を落ち着けましょう」
と言う。本人だって、そう言います。心を落ち着けるための本がたくさんある。
でも、そんなの、役に立ったためしがない。

考えてもしょうがないことを考える続けるのは、気持ちそのものを捉えてないか
らなんだ。ということをけっこう自分で見つけてきました。いま、この正体を見
つけなきゃ。本をいくら読んでも、わかりっこない。いま、せっかく実物がある
のだから、もったいない。

と、電車の座席に座りなおして、目を閉じて、「いま、身体の中で何が起こって
いるの?」

身体の中は、もや、もや、もや、なのですが、無理に言葉にすれば、「あ、ヤバ
い」「まずいなあ」というようなものの身体バージョンみたいなものが踊りを踊
っています。ちょっと、いたたまれない感じがします。

でもじきに、また雑念の塊になっています。自分の身体の感じを探っていたこと
も忘れています。

それで、また、「あれあれ、えーっと」と、思い出して...

そんなことをやっているうちに、ふと見上げると、電車の窓の外の景色が、すご
くきれいでした。前日に雪が降ったので、田畑の緑に、うっすらと雪がかかって
いる。家々の屋根が白い。あちらこちらに、紅葉の黄色と緑がある。それが雪の
白とまじっている。空は晴れていて、青い空に白いすじ雲がかかっている。

気が付くと、あの焦りから解放されています。

特に,ありがたい気づきが起こったわけでもないです。いい結論があったわけで
もない。

自分のもやもやに対して、慈しみのようなものがあったと言えばあった。理解が
生じたと言えば、生じた。でも、そんな大仰なものではない感じ。

たとえ話にすると、「こんなことになっちゃったあ」といつまでもグズっている
子どもがいるみたい。はじめ、反省点やら心構えを説いているのだけれど、それ
ではどうにもならないことに気が付いた。それで目を注いでかまってやっていた。
そんな感じかなあ。


子どもがときどき、グジグジとからみついてくることがあります。
いささか手を焼きながらも、こちゃこちゃとかまっているうちに、なんだか収ま
ります。(収まらないこともあるけど)

それって、実は、すごいことをしているのだと思います。

身体的なこと、心理的なことは、それを生き抜くことによってしか、ほんとうに
は学べません。
でも、子どもがそこでつかえてしまって、一人では抜けられなくなってしまって
いる状況というのがあります。そこを、こちゃこちゃとかまっているのが、いい
サポートになります。結論を出してやるのでは、まったく役に立たない。


つくばのインターナショナルスクールを見学させてもらって、いろいろ面白かっ
たです。

算数の時間を見せてもらいました。テキストが、カラフルで図版いっぱい、ワー
クがたくさんついているタイプのものです。ですから、授業であっても、基本的
には自習と、そのサポートです。

先生が、悪い感じじゃないけど、「そこはこうするんだ」ばかり言っていました。
「それ、いいね」もさりげなく入れてあげると、もっといいんですけどね。結論
だけじゃなくて。

 

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古山明男