huruyama blog

学びや子育てやホームスクールなどなど 古山明男さんのコラムが大好きなので ご本人の許可を頂き紹介しています。

ホームスクールが法的にも正当であること

日本では、「学校教育法」という法律に、ある年齢の子どもは学校に就学しなけ
ればいけない、と書いてあります。
そのため、ホームスクールが法的にも正当であると主張するには、「学校教育
法」の上位にある法律や国際条約を持ち出します。
その中でも、もっとも役に立つのが、「教育基本法」です。

2006年に教育基本法が改正されました。その後のことでした。

懇意にしていた国会議員が、会いたいというので、国会の一室に行きました。伊
藤美好さんという方と一緒でした。この方は、私といっしょに、国連の人権委員
会が出した「教育への権利」という声明を翻訳していました。

この国会議員公明党の教育政策の中心にいる人でした。
教育基本法が改正されたが、実は自分は改正に反対であった。わが党が自民と
の連立政権の中にいるため、改正を阻止できなかった。しかし、目立たないよう
に条文の中にいろいろ『仕掛け』を忍びこませた。今後、その仕掛けを生かして
ほしい」
と言って、その『仕掛け』を教えてくれました。
びっくりするような内容でした。

その中の一つが、第10条(家庭教育)でした。
この条文は、家庭にまで法律の網をかぶせようとした、と反対派には理解されて
いました。しかし、この『仕掛け』を使えば、逆に、家庭教育の自主性を護ろう
とした、と読むことができるのです。

重要なのが、第10条第1項の「保護者は、子の教育について第一義的責任を有
する」です。
似たような条文が、「子どもの権利条約」にあるのですが、それは、「子の養育
および発達についての第一義的責任」です。それが「教育について」となってい
る。ただの養育ではない。
「えっ、これ、親の教育権を宣言しているようなものですね」
と私が言うと、そうだ、との答え。

私はそのとき、甥とホームスクールをやっていました。
「これ、使えるじゃない」
が、第1感でした。
それまで、憲法と国際条約を持ち出して、ホームスクールの法的正当性を言って
いたのですが、すごい援軍が加わりました。

その後、西原博史早大教授(憲法学)が、この教育基本法第10条は「親の教育
権」の意味であるのに気が付いて、本を書いていることを知りました。
そこで、西原氏に声をかけて、伊藤さんたちといっしょに教育基本法の研究会を
やっていました。

教育基本法第10条は、ホームスクールの根拠として使えます。
条文を引用しますので、どこをどう利用できるか、味わってみてください。


(家庭教育)
第十条  父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するもの
であって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、
心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。

2  国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する
学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ず
るよう努めなければならない。

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古山明男