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huruyama blog

学びや子育てやホームスクールなどなど 古山明男さんのコラムが大好きなので ご本人の許可を頂き紹介しています。

柔らかいもの

古山です。

いま、毎週算数を教えている9歳の子がいます。
本人が幼稚園も学校も嫌がったので、お母さんが無理には行かせなかった。自然
発生的なホームスクールでやっているお宅です。

ほんとうにわかる教え方をしたいと思って、水道方式のタイルを使い、市販の本
の中ではこれがベストだろう、というテキストを使っていました。ですが、なか
なかうまくいきません。
公文の算数教室にも行っていたので、いちおうのことはできる。でも、意味はさ
っぱり掴んでいません。

その子と接しているうちにわかってきたのが、その子がすごく柔らかい精神を持
っていることでした。気立てもいい、思慮深さもある。でも、かちっ、かちっ、
と手順を固めていくようなことが、すごく苦手なのです。
数タイルを置いていくのに、すぐ数え間違えるし、置く場所で混乱する。
筆算で、どこに書いていいのか、なかなか定着しない。

ある日、その子といてふっとひらめいたことがありました。「この子に、テキス
トを使っていたらだめだ」ということでした。よくできたテキストであっても、
すでにできているものを辿らせるのではいけない。

そこで、テキストを使わず、シュタイナー教育ふうに、1つのテーマごとにノー
トに絵を描いていくことにしました。目の前で、イメージや概念が次から次へと
生成していくようにします。そうしたら、本人の意識が噛み合ってきました。
「わかった」という感じが生まれるようになりました。

お姉ちゃんと弟の二人は、学校と幼稚園に行っています。この子だけ、学校を嫌
がりました。この子の個性だったのだと思います。家庭の教育方針で、学校を嫌
がったわけではなかった。

おそらく、この子が学校に行っていたら、ついていくだけでも精一杯だっと思い
ます。自分は駄目な子だと、思い込んでしまう。

お母さんが、この子は小さいときから、癒やされる感じのする子でした、と言っ
ていました。たしかにそうなのです。私も、この子といっしょにいると、癒やさ
れる感じがします。
たぶんこの子は、結論で固めずに物事を見ることができる。だから接していると
癒やされる感じがする。でも、カチカチと手順を固めていくのは苦手。学校教育
に合わない。

こういう、柔らかい精神の子どもに、何人か出会いました。彼らは、学校では、
小さくなって生き延びていました。テストのふるいにかけると、ザルで水をすく
うようなことになってしまうのです。

でも、こういうタイプの人間もそのまま育っていないと、社会は窒息してしまい
ます。

この子は、そろそろお友達がほしい年齢になってきたので、学校に行こうかとい
う話も出てきています。とにかく、本人の意思を大事にしようということで、親
と本人で話がついています。

古山明男